桝武志(ますたけし)の
「教科書には載っていない算数」   



4:『整数同士のかけ算』

第1章〜第3章でいくつかのパターンのかけ算を勉強してきました。
この第4章では、複数桁×複数桁のかけ算、つまり全てのパターンのかけ算に対応する計算方法を紹介しましょう。
基本は小学校の教科書に書いてある計算方法(ひっ算)と似ていますが、書き方がちょっと違います。
それでは早速問題を見て行きましょう。



“5桁の整数×2桁の整数”という問題です。
計算の手順に沿って説明して行きましょう。

手順@

問題の「58678」と「38」の数字をそれぞれ縦に書きます。
もちろん上から書いて下さい。
左右どれくらい離して書けば良いのか・・・。それは適当で構いません。
左右に離す距離には全く意味が無いからです。


縦に書くともはや「58678」と「38」という数字には見えませんね。
それでいいのです。
5階建てのビルと2階建てのビルが並んだかのように見えます。
そうです。
ビルが並んだように書くと良いでしょう。



手順A

左の5階建てのビルを見てください。
奇数の階に注目します。
1階部分は「8」、3階部分は「6」、5階部分は「5」ですね。
今度は右の2階建てのビルです。
ここは1階に注目します。
1階の「8」と左の5階建てビルの奇数階の数をそれぞれかけ算してください。
1階とのかけ算は「8×8」で「64」、
3階とのかけ算は「8×6」で「48」、
5階とのかけ算は「8×5」で「40」、ですね。
それらの数字を、下に右から順に書きます。
下の計算図を見て、書く場所を確認して下さい。


あたかも「404864」という数字の様に見えますが、気にする事はありません。
今回は桁数が多いので、急ぎましょう。
次は手順Bです。



手順B

今度は、5階建てのビルの偶数階に注目です。
5階建てですから、2階と4階がありますね。
2階は「7」、4階は「8」です。
右の2階建てのビルは、引き続き1階部分の「8」に注目です。
右のビルの1階「8」と左のビルの偶数階「7」と「8」をそれぞれかけ算します。
2階とのかけ算は「8×7」で「56」、
4階とのかけ算は「8×6」で「64」、ですね。
それらの数字を下の段に、右から順に書くのですが、注意点があります。
必ず、右から一文字分空けて書いて下さい
下の計算図を見て、書く場所を確認して下さい。
「6456」という数字が右から一文字空けた所に書かれていることを確認しましょう。




手順C

この手順Cは手順Aと同様の計算です。
右のビルが1階の「8」ではなく2階の「3」を使うという点だけが違います。
そして、また下にかけ算の結果を右から書くのですが、ここにも注意点があります。
必ず、手順Bで書いた「6456」と右端を揃えて書いて下さい
下の計算図を見て、書く場所を確認して下さい。
『奇数とのかけ算は一回前の偶数とのかけ算と揃える』という事なのです。
このルールを間違えると、計算の答えが大きく変わってきます。
注意しましょう。




手順D

この手順Dは手順Bと同様です。
右の2階「3」と左の偶数階とのかけ算です。
「3×7」で「21」、「3×8」で「24」ですね。
それらの数をまた右から順に書くのですが、ここにも注意点があります。
必ず、奇数計算した数の右端から一文字分空けて書いて下さい
もうパターンはわかりましたね。
下の計算図を見て、書く場所を今一度確認して下さい。


慣れてきたら、手順Cの(計算図の)、(計算図の)、手順Dの(計算図の)、(計算図の)は、いっきに書くようにしましょう。



手順E

最後はいつもの足し算です。
ここまで書いてきた「404864」「6456」「151824」「2421」を列を間違わない様に気を付けながら足し算します。
つまり、下の計算図の灰色で書かれた数字のみの足し算です。
答えは2229764と計算できました。


この問題も足し算がちょっと大変になってきました。
でもこれは仕方がありません。
特に、縦列を間違わないように注意してください。
さあ、頑張って練習問題をやってみましょう。



練習問題C


解答C

(1)2489658

このページで紹介した方法はこの問題のように何桁に」なってもやり方は同じです。
特に注意点はないと思います。
左の6階建てビルの5階が「0」なので、下の計算図の赤なみ線「00」部分は書かなくても良いでしょう。
また、赤なみ線「0」部分は、慣れてきたら省略しても良いですが、慣れるまでは書いておいたほうが良いかもしれません。
右のビルと左のビルのかけ算を順にやっていくというこの計算方法ですが、そのかけ算の答えは絶対に2桁で書かなければなりません
。 そうしなければ、桁がずれてしまうからです。
例えば計算4段目の「021608」は「02」「16」「08」という、それぞれ2桁の数を並べて書いてあるわけです。
このうち「08」を「2×4=8」だからといって、0を省略して「8」としか書かなかったらどうなるでしょう。
きっと「8」の左となりには「16」が来てしまい、計算結果が変わってきます。
このような面倒な説明はさておき、とにかく、右のビルと左のビルとのかけ算は2桁の数字で書いていってほしいのです。



(2)1329160

この問題も(1)同様に赤なみ線部分は省略しても構わない部分です。
ただし、青丸で囲った部分の「00」は絶対に省略してはなりません。
この段は、右1階と左1階の「9×0」で「00」と、右1階と左3階の「9×0」の「00」とを右から順に書いているわけです。
“全部0だから省略できるじゃねーか”という声が聞こえてきそうです。
しかし、ここの右端の「0」は答えに影響してくるので、書かなければなりません。
面倒な説明は省きますが、とにかくこの「0」がなければ、答えが「132916」になってしまうのです。
わかりますね。
計算3段目と5段目の「0000」は省略しても構いません。
答えの桁数に影響を与えないからです。



(3)14412

そろそろ慣れてきたでしょうか。
慣れるまでは自分で何度も何度も適当な数字のかけ算をやってみましょう。(答え合わせは電卓などで)
この問題は右ビルと左ビルのかけ算の結果が全て1桁の数になるので「0」をたくさん書く事になります。
しかし、慌てる事はありません。省略しないほうが良い「0」かどうかわからないうちは、下の計算図の様に「0」を全部書けば良いわけです。
また、下の計算図の5行目「08」の下には、正確に言うと「0000」が隠れています。(「9×0」と「0×8」より)
ちなみに言うと赤なみ線部分の「0」は省略しても構わない「0」です。



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