Lecture 速弾き教則 Web Sites for Shred Guitarists by -mmelo Takeshi Murakami-
http://mmelo.com/murakami/
レクチャーとは言っても、このサイト自体が“速弾き”というマニアックな世界のサイトですので
ここでいうレクチャー(講義)もまともなものでない事は言うまでもありません。
とてもマニアックな視点のレクチャーですが、興味があればじっくり読んでみてください。
理解出来ればなかなか面白いしタメになる内容です。
練習に疲れてしまった時や、ヒマな時に読むといいでしょう。



Training 1
Training 2
Training 3
Training 4





Lecture 1
Lecture 2
Lecture 3
Lecture 4
Lecture 5
Lecture 6
Lecture 7


Lesson 1
Lesson 2
Lesson 3






Lesson 1
Lesson 2
Lesson 3
Lesson 4
Lesson 5
Lesson 6
Lesson 7
Lesson 8
Lesson 9
1. ギター(特にエレキギター)の音についての話。

既に知っているという人も多いと思うが、ここに記す内容を意識して演奏するとギターに対する演奏意識も変わるだろう。

自分が練習している楽器の特徴を知るという意味においても是非、頭に入れておきたい内容だ。



ギターは弦楽器である。

ピアノやバイオリンも平たく言え弦楽器だろう。

しかし、同じ弦を使用した楽器であっても、その音を出すメカニズムは楽器によって様々である。

ピアノは弦振動を音とするという意味ではギターや三味線と一緒だが、鍵盤を叩くと弦を叩いてくれるという、ある意味では『そういう装置』を操作(演奏)していると言える。


それに対し、ギターや三味線や琴は弦そのものを手(ピックや撥のような道具の使用も含む)で弾いて音を出している。

ピアノがギターと同じ弦振動による楽器であるにも関わらず、もっとも違うのがこの点だろう。

その為、弦を揺らす(弦の張り具合を変化させる)ヴィヴラートという表現はピアノには出来ないのだ。

また、ピアノは音をミュートする場合はペダルで操作するが、それに対しギターは、右手や左手を駆使してミュートしなければならない。

そう考えるとピアノは音を発する装置として親切に設計されていると言える。



次に、ピアノもギターも一度音を出す(弾く)と、途中で音量を変える(ヴォリュームアップという意味でいえばエレキギターにはヴォリューム奏法という技はあるが、ここでは『ギター』という楽器そのものの一般論として説明している)事が出来ないのに対し、バイオリンは弦を弾いているのではなく弓で擦って発音している為、長い音符等は途中でボリュームをUPする事が出来る。

弦楽器と一括りにするのには疑問を感じるくらいそれぞれに様々な特徴がある。

(違う楽器なのだから当たり前だが)



このように似ている楽器であっても様々である事は当然だが、その中でもギターは“楽器の中で最も完成された楽器である”と言われている様に、演奏者のテクニックが直(ちょく)で音に影響し、その音を出すメカニズムと共に、非常に奥の深い楽器である事をお話したい。



ギターの弦は6本である(12弦ギターや7弦ギター、或いはベースギターの存在はここでは割愛する)。

その弦を張っているヘッド部からブリッジ部までの距離はご存知だろうか。



一般的なエレキギターは凡そ65cmほどだが、ギターによってその長さは様々である(ここでは話を解かり易くする為65cmとして進めていく)。

弦の太さはどうだろうか。

『009〜042』や『009〜046』『010〜046』など、こちらも様々である。

ギターという楽器は、これらの「弦を張っている距離@」と「弦の太さA」さらに、「弦を張る強さB」という3つの方法によって音の高低を変化させる楽器なのである。



一応補足すると、@に関しては、距離が短いほど音は高くなる。
Aに関しては弦が細くなるほど音は高くなる。
Bに関しては弦を張る強さを強くするほど音は高くなる。

当然である。




@についてだが、開放弦の場合、音が鳴る際の弦の長さは上述した通り約65cmである。

ギター演奏中にギターの形が変わるわけではないので、この距離をこれ以上長くする事は出来ない。

しかし、短くする事は出来る。

それが、フレットを押えるという動作だ。



1フレットを押えると、ブリッジ部から1フレットまでの長さとなり、弦の距離が1フレット分短くなる。

距離が短くなるという事は音が高くなるという事だ。

1フレットよりも2フレット、2フレットよりも3フレットという様に、同じ弦であっても押えるフレットを変えていく事によって音は高くなっていく。


Aについて。

弦の太さに関しては言うまでもなく、6弦よりも5弦、5弦よりも4弦の方が弦が細い為、音は高くなる。

演奏中に弦の太さを変化させる事は不可能なので、この6本の弦で巧みに演奏する事になる。



Bに関しては、弦の張りを調節して音の高低を変化させるという事だ。

ヘッド部でも調節可能であるが、ギターによってはブリッジ部でも調節が可能だろう。

また、それらは演奏中に張りを変化させる事はなかなか不可能に近い。

そこで活躍するのが、ブリッジ部に付いているアームだ。



アームをダウンするとそれだけ弦の張りが緩み、音は低くなる。

逆にアームアームアップすると弦の張りが出て音は高くなる。



ここまでの@〜Bについては理解できただろうか。

ある程度ギターを触っている人にとっては、当然の内容となっているので、理解し難い事は無いだろう。



さて、ギターの演奏にはチョーキングという技がある。

これは、Bを実行して音を高くするという技だ。

なぜなら、フレットを押さえた指を上げていく事によって、ブリッジから張っている弦の張り具合を強める事になるからだ。



しかし、細かく正確に言うとチョークアップすると(三平方の定理から)弦の距離は若干長くなる。

つまり音は低くなるはずである(@)。

しかし、それ以上にB弦を張る強さが増す為、結果的に音は高くなるのである。



もし、チョークアップしながらアームダウンを行なえば、理論上は、その具合によっては音の高さは一定のままという事になる。



音の高さという点で言えば、例えば、2弦の開放(シの音)と3弦の4フレット、4弦の9フレット、5弦の14フレット6弦の19フレットは同じである。

しかし、それらは@ABそれぞれの理論によりギターという楽器が音の高さの計算をされているという事であって、全く同じ音が鳴るという意味ではない。

色々な「シ」の音があるのだ。

実際に弾いてみたらわかるとおり、音の高さが同じであっても『音色』が違うからである。

ピアノには出来ない音色の話だ。

同じ高さの音はピアノでは一つの鍵盤を叩く事でしか音を出す事が出来ないからだ。



ただ、ここではその音色という話には触れない。



さて、音の高さの話の続きになるが、ハーモニックスという技がある。

例えば6弦の12フレットでハーモニックスを弾くと6弦の開放の音である「E(ミ)」の1オクターブ上の「E(ミ)」が鳴る。

ハーモニックスの音が鳴っている時は左手で弦を押えてはいない為、弦の距離は開放の距離のはずだ(@)。弦の太さ(A)も6弦のままであり、弦を張る強さ(B)を調節しているわけでもない。

ではなぜ、6弦の開放と同じ「E(ミ)」ではなくて1オクターブ高い音が出るのだろうか。

上述した@AB以外には音の高さを変える方法は無いはずなのだが、ここで矛盾する。



これは、実は弦の距離はブリッジからヘッド部までの約65cmのように見えるが、ハーモニックスで振動している弦を良く見ると弦振動は65cmではなく、弦の中央部分が支点となりその半分の32.5cmが二つ振動しているのである(無限大のマーク『∞』のような形をイメージしてもらえると分かりやすいだろうか)。


つまり上の@は弦を張っている距離というよりも正確には弦の振動している距離、という事なのである。

ヘッドからブリッジまでの距離のちょうど真ん中が12フレットなのである。

12フレットのハーモニックスのさらに1オクターブ上の音をハーモニックスで出したい場合、32.5cmのさらに半分の16.25cmの部分でハーモニックスを行なえば良いのである。

それが5フレット(24フレットも同様)である。

5フレットでハーモニックスをすると開放弦であるにも関わらず、弦振動は4つとなり(距離は16.25cm)支点は3箇所という事になる(無限大マークを横に二つ並べたような形をイメージしてほしい『∞∞』)。

その証拠に、5フレットのハーモニックス音が鳴っている時に、12フレットや24フレットに一瞬触っても、音は消えない。

12フレットや24フレットの位置が5フレット同様に支点となって音が鳴っているからである。



12フレットのハーモニックスの話に戻るが、距離32.5cmであれば、1オクターブ上の「E(ミ)」が鳴るのでだから、それなら、最初から12フレットを押えて弾けば同じ音が鳴るのではないか。その通りである。

12フレットのハーモニックスと12フレットを通常通り押えての演奏とでは全く同じ高さの音が出る。

しかし、比べてみてほしい。

ハーモニックスの方が通常通り押えて弾いた音よりも綺麗に響いて聴こえないだろうか。

なぜかというと、32.5cmの振動が2つあるからである。

12フレットを押えて通常通り弾いた場合は32.5cmの振動は1つだけなので、それだけ音に深みが感じられないのである。



別の例で表すと、2弦の5フレットを押えて1弦の開放と一緒に弾くと、何かこう響いた綺麗な感じにならないだろうか。それと同様の理論である。


5フレットのハーモニックスに関しては16.25cmの振動が4つあるのだから、綺麗に鳴った時は非常に綺麗な音になる。

では、65cmを二つの支点で3つの振動になるように出来ないだろうか。

答えは7フレット(19フレットも同様)である。

つまりヘッドからブリッジまでの距離のちょうど1/3の地点が7フレットであり19フレットなのである。

7フレットでハーモニックスを行なうと12フレットのハーモニックスの5度高い音が出る。

これは弦振動によって発する音の理論である。

要は7フレットのハーモニックスは19フレットを通常通り抑えた時の振動が3つになったという事なので19フレットの音と同じであり、19フレットは12フレットから数えて5度上という事を考えれば当たり前の話である。

7フレットハーモニックスの1オクターブ上の音をハーモニックスで出したいとするとどうしたらいいか。

要は7フレットの時の弦振動である(65÷3)cmの更に半分の距離(つまり(65÷6)cm)の地点でハーモニックスをすれば良いのである。
答えを言うと3フレットと1/3の地点である。

3フレットよりも1cmほど4フレットよりの地点、といった所だろうか。

なかなか音は鳴り難いが、理論上は(65÷6)cmが6つ振動している事になる。



弦力学から言うと、とにかく、弦が振動している距離が半分になれば音は1オクターブ高くなるという事なのだ。

だれか別の人に、何弦でも良いが、例えば6弦の1フレットを押えてもらってみてほしい。

その状態で貴方が何も押えないで弾くと当然1フレットの音が鳴る。

そこで、そのまま1オクターブ上の音を出してみよう。

1フレットが押えられている状態であるから、1オクターブ上の音はフレットの数で12個進んだ場所であるので13フレットを押えると1オクターブ高い音が鳴る。

13フレットを離すと、押えてもらっている1フレットの音が鳴る事になる。



ハーモニックスも出来る。

1フレットを押えてもらっている状態で13フレットでハーモニックス演奏すれば良いのである。

1フレットの音の1オクターブ高い音が鳴っただろう。

同様に1フレットよりも5つ進んだフレット、つまり6フレットでハーモニックスを行なうと、1フレットの音の2オクターブ上の音が鳴る。

弦の振動している様子は普段ギター演奏している時には中々見ることが出来ない。

しかし、これらの理論を頭に入れた状態で弦の動きをイメージしながら演奏すると、ハーモニックスでどんな音が鳴るのか、など咄嗟に解かってくるのではないだろうか。

この弦振動・ハーモニックスの理論が充分に理解出来れば、『速弾きGuitar Lesson D』の Chapter 28 のメカニズムも理解出来るだろう。



尚、このレクチャーの話の延長というわけではないが、興味のある人は、音を周波数で解説した『Lecture 7』にも、目を通して頂けると嬉しい。

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